ツアー実施報告

< 第1回ツアーの様子 >

9:00▷いわき駅出発

集合時、あいにくの天気だったが、天気予報では午前中で止むとのことで、止むことを期待しつつ出発。
参加者の皆様のご協力もあり、時間通りの出発。

10:00▷ファーム白石

1軒目はファーム白石にお伺いした。時期的に農産物の収穫が全て終わっていたこと、またあいにくの雨により、ビニールハウス内にて白石さんから参加者に向けてプレゼンテーションをしていただいた。プレゼンテーションでは、浜通り12市町村で取り扱っている農産物のパンフレットを使いながら、「生産している農産物」「農業への想い」「次世代就農者支援」「震災前後の市場の変化」等のテーマについてお話いただいた。
現在ファーム白石では、BTOCで直接、消費者(飲食店や個人の消費者)に卸す取り組みを行っており、その場で契約している参加者もいた。参加者からはプレゼンテーションの合間に多くの質問があり、活発な意見交換の場となった。白石さんからは「浜通り12市町村の農産物をPRできるならどこにでも出ていく」という積極的な姿勢が参加者の方々にも伝わり、今後都内で合同イベントの開催を検討していく予定だ。

12:00▷メルティーシープ

2軒目は株式会社牛屋(メルティーシープ)を訪問した。代表である吉田さんは「震災で0になった葛尾村に再び人を呼びたい」という強い思いを抱き、畜産を通じて地域活性化に取り組んでいる。その一環として、地域おこし協力隊として若い世代も働きに来ており、畜産業界の未来を支える重要な役割を果たしている。また吉田さん自身が全国各地に車を走らせ、牛や山羊・羊を仕入れに行き、困っている畜産農家からの連絡に親身に相談に乗っている姿勢は、畜産業界を葛尾村から盛り上げたいという熱意の表れであり、参加者も「こんなに熱い人がいるとは」と、熱心に耳を傾けている様子だった。
株式会社牛屋(メルティーシープ)では、最新の機材を活用し、堆肥の再利用など環境に配慮した取り組みや、生産から商品化までの全工程を独自で行い、品質管理の徹底がされており、訪問者一行に対して各施設を一つ一つ丁寧に案内し、施設の機能や運営について詳しく説明していただいた。メルティーシープは人気が高く、現在出荷待ちの状態が続いているため、ネットショップでもすぐに食べることはできないが、都内でメルティーシープを取り扱っている飲食店をご紹介いただき、その場で予約している参加者もいた。今回の訪問を通じて、吉田さんの葛尾村に対する強い思いと畜産業界の未来を見据えた取り組みを直接感じることができ、このような熱意あふれる取り組みが地域の活性化と持続可能な発展に寄与していることを実感した。

14:00▷鈴木酒造

3軒目は、浪江の道の駅内にある鈴木酒造を訪問した。代表の鈴木社長から醸造所内の施設を丁寧にご案内いただき、日本酒の醸造工程について詳しく説明していただいた。鈴木社長の説明は非常に分かりやすく、醸造の過程における細かな工夫や技術についても触れていただいたため、参加者はその奥深さに感心した。現在仕込み中の様々なお酒を見せていただくという貴重な体験ができ、使っているお米が同じでも、作り方によって全く異なるお酒になるということに参加者は驚いている様子だった。また、鈴木社長からは鈴木酒造の歴史についても語っていただき、創業から現在に至るまでのエピソードや、震災を乗り越えてきた苦労とその背景についても理解を深めていただき、鈴木酒造の日本酒に込められた思いや地域に対する愛情についても強く感じられる内容だった。見学後は鈴木酒造店のお店にて多くの参加者が商品を購入し、特に試飲を通じて自分の好みに合った日本酒を選ぶ楽しみも味わえた。参加者が商品を購入することで鈴木酒造に対する興味と理解が深まり、今後も継続的なファンとして応援したいという声も多く聞かれた。今回の訪問は非常に有意義であり、鈴木酒造の魅力を存分に感じることができたと同時に、地域の文化や産業に対する理解も深まった。

16:00▷柴栄水産

4軒目は柴栄水産を訪問し、施設内と実際にあんこうを加工している現場を見学させていただいた。しらす加工現場については、かなり大きな機械で参加者の方々が驚かれていた。また柴社長が、なぜこの場所で再度事業を始めようと思ったのかという想いと覚悟を聞き、素直に応援したいと言葉を出す参加者もいた。
現在は漁に出る日が限られているため出荷したくてもできない状態が続いていること、震災後に初めて築地に出荷した時に「おかえり」と言われ、多くの方々に待っていただいたことのありがたさを感じたこともご説明をいただいた。また津波の被害にあった柴栄水産の周辺を実際に見て、言葉をなくす参加者達が多く、「これほどひどかったのは来てみないとわからなかったし、10年以上経過してもまだ瓦礫の撤去をしているとは知らなかった。」という感想が多かった。また「実際に現地を訪れてみて、被害の大きさと復興への努力を肌で感じた。柴栄水産の取り組みを応援したい。」と感想を述べ、他の参加者も「この訪問を通じて地域の現状を深く理解し、復興への思いを持つようになった。」とのことだった。施設案内後は、柴栄水産直営の店舗にて請戸漁港の魚介物を使った生産物を全員が購入し、できれば加工物ではなく、生の地魚も食べたいとの声が上がっていた。

17:00▷LAND BUILD FARM

5軒目は、サムライガーリックを栽培しているLAND BUILD FARMの吉田さやかさんを訪問した。家族総出で愛情を込めて6万株を手作業で栽培されており、収穫前のにんにく畑にて、にんにくの生産過程、なぜにんにくを栽培しようと思ったのか、今後の事業計画等について改めてご説明いただいた。また昨年の収穫分については、すべて完売していることもお伝えいただくと、サムライガーリックの人気の高さに驚かれており、参加者は実際にサムライガーリックを触り、香りの良さや他のにんにくとの違いを感じていた。
さらに、2回目のダイニングアウトを行う予定の古民家を改築してゲストを迎える「和坐」も見学する機会があり、参加者は改築された建物の様子や庭の雰囲気に大変感動していた。2回目の参加を既に検討している参加者も複数いて、「サムライガーリックの品質の高さに感銘を受け、農家の努力と愛情が感じられました。和坐の魅力も素晴らしく、次回のツアーが楽しみです。」という感想もいただいた。

18:00▷レストランHAGI

最後はいわきのレストランHAGIで、今回お伺いした生産者の方々の生産物を使ったオリジナルメニューをコースで提供していただいた。参加者たちはその見事な調理技術と美しい盛り付けに感動し、どのメニューも提供されるたびに歓声が上がり、料理の美味しさと共に生産者さんたちの努力と情熱を感じ取ることができた。特にメインディッシュのメルティーシープさんの子羊を薪で調理する際には、写真撮影会が始まり、料理の工程を見ながら、萩シェフともコミュニケーションを取っていただき、全ての料理を堪能していただいた。参加者の1人は「生産者ツアーで訪問した場所の素材を使った料理を実際に味わうことができ、とても感動しました。萩シェフの丁寧な説明と料理の素晴らしさに心から感謝しています。」と感想を述べ、第2回目の美食クラブツアーへの参加希望も4名が希望されていることから、ツアーの満足度が高かったことが分かる。